小児部門「感覚統合療法」
感覚統合(Sensory Integration)とは、「自己の身体および環境からの感覚刺激を組織化し、環境の中で体を効率よく使用することを可能にする神経学的プロセス、中枢神経系で生じる受容から環境との適応的な相互関係として示される一連の現象」(Fisher & Murray1991)
1それでは、なぜ感覚統合が必要でしょうか?
上図は感覚が発達する段階を入力の統合段階にして説明した図であります。感覚統合では、味覚・嗅覚・視覚・聴覚という感覚よりも無意識に処理される触覚・固有受容覚・前庭覚が共に重要であり、これらの感覚が統合されることで、最終産物として、学習するための集中力や自尊心、自信などの発達を促し、社会適応にとって不可欠な能力を高めるからです。
- われわれの身の回りのすべての情報(感覚)は、無意識のうちに神経システムの中で受け取られます。
- 統合とは、身体の内外から入ってくる多くの刺激を脳で組織化して、環境に対して適応反応を起こすための脳における一連の処理過程のことをいいます。
- 小さい頃から行っている遊びや活動はすべて、感覚統合で利用されるさまざまな感覚が影響しており、これらの感覚がしっかり機能することで、発達がうながされます。
2具体的な方法について
感覚統合療法では、主に触覚、前庭覚、固有受容覚の3つの感覚を重要視して取り組みます。
2-1 触覚刺激を入力する遊具や遊び
2-2 前庭-固有受容覚刺激を入力する遊具や遊び
永井ら(1998):感覚統合Q&A
- プラットホーム・スイング
- タイヤチューブ・スイング
- スクーターボード
- ボルスター(ホース)・スイング
- 空中ブランコ
- ヘリコプター
- ハンモック
- フレキサー・スイング
2-3 固有受容覚刺激を入力する遊具や遊び
永井ら(1998):感覚統合Q&A
- 活動: 遊具にぶら下がる、登る、くぐる、引っ張る、押す、屈曲姿勢や伸展姿勢で器具に乗る。
- ロープ
- ラダーウォール
- はしご
- 平均台
- ジャングルジム
- 脚立
- トンネル
- ラダー・ウォール
3最後に
統合とは、
内的まとまり→外的働きかけであり、
感覚統合療法では
- 自らやりたいという「内的欲求」を重視し、身体を使って自ら環境に働きかける状態を作り出す。
- 感覚刺激の種類と強さの選択は、脳への影響を考慮し、子どもの反応を観察し決めていく。
- 成功感を味わい自信を与え、次の発達レベルへ挑戦しようとする気持ちになれる
活動を用意する(適切なチャレンジ=適応反応レベル)。 - ライフステージに基づいた活動を考え、展開していく。